―――相変わらず、こー姉の言葉は深いな…


そう思っていると、広間の大扉が急に開いた。


「?」


神の血族は皆、開かれた扉の先に人がいない事に首を傾げる。


―――なんだ?


何故か心がざわついて、成二が一歩前に出る。


「「成二、待ちなさい!」」


静まり返っていた広間を、小龍沢の一族の声が支配する。


途端、見えない衝撃に襲われたが、成二を風が守ってくれた。


「な!?」


急な攻防に、皆驚きを隠せない様子が見える。


―――ボサッとするなよ…


陰陽師が多いのにも関わらず、対応が遅いことが、やたら腹立たしい。


成二はそのまま右手を扉に向けると、周りで風を起こしていた正体が姿を見せる。


風の正体…それは成二を中心に回転する無数の西洋式大剣。


それの切っ先を向けて扉の“見えない何か”に向かって放った。