同時刻の清明館学園高校。


授業が終わり、放課後を迎えた学校の校門には小さな人だかりが出来ていた。


「誰?」
「美人…」
「誰かの彼女かな?」
「うっわ!ヤバくね?」
「俺、声かけようかな…」
「馬鹿、相手にされねぇよ」


そんな声が聞こえる校門に、ヘッドホンをつけている為、全く何もわからない成二が近付く。


生徒の視線の先を、無意識のまま向く。


「せぇじ!」


ブーツカットに、胸元ギリギリまでボタンを外した紅のシャツ。


「明奈さん!」


人だかりの全ての眼が、一瞬で成二を向く。


成二は無言のままでその中を突っ切り、明奈の腕を掴んで校門から早足で遠ざかる。


「何してるんですか!」


「何って…お迎えよ」


あっけらかんと答える師匠に何も言えなくなる。


「だって心配なんだもの。この前は家で泣いちゃうし」


「そ…それを道端で言わないで下さい」


明奈の言葉に過剰に反応する成二の姿が少し可愛く見える。


「師匠は弟子が心配なのよ」