「本庁のスタッフよね?」


「月宮葉月です」


千鶴の問いに少し緊張気味に答える葉月。


いつもと違う場所に一人でいる上、よく知らない人間と話してるのだから、無理もない。


千鶴は微笑んで、もう一度問い掛けた。


「何歳?」


「17歳。高校3年です」


「17?じゃあアナタ、ついて来なさい?」


「え?」


急な誘いに戸惑い隠せない。


「今は政都にいるから、ウチのやり方に合わせてね」


「は…はい」


千鶴はそう言って対策室の扉を開く。


その後ろを葉月が駆け足でついて行った。


「千鶴さん、いーのかね?月宮ってウチの室長と同じなんだろ?」


一部始終を見ていたスタッフがぼやく。


「いいんだよ」


「杏里さん」


「このままココに居ても、ただ見慣れない環境で知らない人に囲まれるだけだろ?」


杏里は入口に視線を移す。


「あれは千鶴なりの思いやりなんじゃないか?」