「私がいないトコロで何してるのかしら?」


「うわっ!明奈さん!」


後ろから急に腕をガシッと捕まれ、成二の身体中がビクンと跳ね上がった。


「あら、そのペンダント…」


握っていたペンダントが見つかり、更に心臓が忙しく動き始める。


「え?…な…何でもないです!つか明奈さん…む…胸!!」


ペンダントを隠そうと必死だったが、それよりも危ないのが、明奈の胸が確実に当たってるって事。


「嬉しいクセにぃ♪可愛い弟子ね♪」


「なっ!?ちが…!」


明奈が悪戯な表情になる。


「せぇじ、今日はウチに泊まりなさい?明日は土曜だし、面倒見てアゲル♪」


「は?」


「実は多香子にはもう言ったの。今日は教えたい事があるから借りるってね」


―――借りる、て…俺は物じゃないぞ…


最早、どこにツッコミを入れればいいのか解らなくなる状況。


そんなこんなで「師匠権限」と言う権力の乱用が発動し、成二の安息の時間への道が音を起てながら崩れ落ちる。


腕を離さないまま歩き出す師にズルズル引っ張られ、成二は宮内庁を後にした。