はるかの言葉に少し救われたのか、少し胸がスッとした気がする。


「さ、報告しよ?」


背を優しく叩かれて、成二は立ち上がった。


「そうですね…今、連絡します」


ジャケットの内ポケットを探ると、都合よくケータイが鳴る。


ディスプレイを見ると、“たか姉”の文字が光る。


『もしもーし』


「もしもし?半鬼と遭遇…同時に倒したよ。場所は銀座四丁目」


『あ、お疲れ様。後は参番隊にお願いするから、しばらく待機しててね。それと本庁から調査員が来たから、待機後は対策室にね』


「了解」


短い会話を終えると、はるかが会話内容を知りたそうな顔をしていた。


「待機した後は対策室に戻れ、との事です。本庁から調査員が来たからとか、なんとか…」


「ふぅん…」


はるかの顔が少し曇る。何を考えているのか気になったが、敢えて問わない事にした。


成二は、ふと自身の手で殺した、半鬼を見た。


―――俺が退魔師になったのは、人を殺す為じゃなかったのにな…


不意に込み上げて来た涙。はるかに見られないよう、成二は遺体に静かに頭を下げた。