皇居に案内され、大回廊を突き進むと、近衛警備部が護る扉の前にたどり着いた。


「失礼ですが…」


3人の近くへと近衛警備員が近付いてくる。恐らく確認の為だろう。


「小龍沢」


そう言うと、頭を深々と下げてから扉を開けてくれた。


「あけましておめでとうございます」


扉を開いた後、再び頭を下げて挨拶されたから、多香子は丁寧に頭を下げ、挨拶をした。


「さ、成二、行くよ」


紘子は手招きして、まだ敷居をまたがない成二が中に入るように促す。


―――なんだかなぁ…


弟の表情から気乗りしないと悟ったのだろう。多香子が手を差し延べた。


「一緒に行こっか?」


さすがに手を繋ぐのは断ったが、多香子の気遣いがちょっと嬉しかった様で、成二は少し口の端を上げて姉の跡をついていった。