気づいたらクラスの男子まで反撃にかかってくれた。
さすがに気分も下がってきたのか、夕菜は綾香に「もうよくね?」と呟いた。
みんなももう折れてくれるかなと思ったその矢先――
「分かった、じゃぁ一発殴らせろ」
美幸から思わぬ一言が飛び出てきた。
私の顔は一瞬で青ざめた。
……なぐ、る? 私を?
美幸が私に向かって言った。
「もし殴らせてくれるんだったらもう何も言わないって約束したげる。それでいいでしょ」
私は美幸の目をじっと見つめた。
相手は真剣だった。
「こんな馬鹿なことしなくていいって、愛」
「ほんとほんと、気にすんな」
「相手のいう事なんて聞かなくていいって」
周りの友達はそう私に言った。
けどその言葉とは裏腹に、私は美幸に言い放った。
「いいよ。殴って」
