学校は夏休みに入った。

かずやは
バンドの練習に集中するために
夏休みの間は
バイトを休んでいた。

そして夏休みが終わり
久々にかずやに会った。

私の顔を見るなり
かずやは言った。

「あっっ!エリ!
マジ聞けって!!
俺、彼女できたんだけど!」

こんなに陽気なかずやを見たのは
初めてで
ビックリした。

『へぇー!!良かったじゃん!
バンドとの両立
大丈夫??』
と、聞くと

「正直さー、バンドもあるし
学校も、バイトもあるし
あんまり会えないと思ったから
一回断ったんだ。
そしたらさ、それでもいい!
全部ちゃんと理解してる!!
って、めっちゃ押されてさ…。
その気迫に負けた…
って感じなんだよね。
イヤ、でもさ、そこまで
俺の事を好きでいてくれてる
っつーのが嬉しかったんだ。
だから、俺 マジ絶対
幸せにしようって思ったよ。」


−−聞いてるのが辛かった−−

−−耳をふさぎたかった−−

私には、まだ人の幸せを
一緒に喜んであげる事が
できない…。

うらやましい…
と言う気持ちさえもなく

ただ悲しかった……

人の幸せは

自分の不幸を

よりいっそう

大きくする…。

いつか
かずやの幸せを
一緒に喜んであげたい…。

ごめん、かずや…
心から おめでとう言えなくて……