お父さんが死んでから
私は 絶望と後悔の日々を
ひとりで送っていた。

もう 涙も出ない程
泣き続け
ようやく精神的に落ち着きを
取り戻せた頃
私はバイトを始めた。

ひとりで家にいる虚しさを
忘れたかった…

そして
無性に 人が恋しくなっていた…

私が選んだのは
小さなレンタルビデオ店。

有名なチェーン店ではなく
個人でやっている
アットホームな感じの所だ。

バイト先で
ある男の子と知り合った。

私と同い年で
《かずや》と言う男の子だ。

かずやには
「バンドで成功したい」
と言う夢があり
そのための資金を
バイトで稼いでいるそうだ。

ベラベラと話すタイプではなく
同い年とは思えないぐらい
かずやは
とても落ち着いた人だった。

かずやも私と同じように
学校生活が楽しくないようだ。
バンドに熱中しすぎて
気付けば
クラスには
友達と呼べるような人が
いなかったらしい。