いつもより
少しだけ お洒落をして
ゆうじさんとの
待ち合わせ場所に向かった。

PM5時45分

ゆうじさんは
まだ来ていないようだ。

基本的に
《待つ》と言う事は
好きではないが
恋をしていると
好きな人を待つ時間さえも
愛おしくなる……。

PM6時ちょうどに
ゆうじさんは来た。


「もう来てたんだ!
待たせちゃった?」

『ううん、私も
さっき来たばっかだよ』

「あ、そうなんだ」
と言いながら
ゆうじさんはコートを脱ぎ
軽く手をあげ
ウエイターさんを呼んだ。


……わぁ、やっぱり大人だ……

「俺、コーヒーもらおうかな
ブラックで。
エリちゃんは?」

『あ、私は…
私も同じので良いよ』


−−思わず言ってしまった。

コーヒーなんて嫌いなのに…。
砂糖とミルクたっぷりなら
飲めない事もないけど…

ブラックなんて
飲めるワケがない・・・。

子供扱いされたくない…

子供だと思われたくない…


そんなキモチで
つい頼んでしまった
ブラックのコーヒーは…


やっぱり苦かった…。