「毎月 1日に30万振り込むから。
光熱費とか引かれたって
十分よね?
それとー……
あの人の遺産
遺言書通り 全額
あんたの通帳に入れといたわ。
やーねぇ…遺言書だなんて。
私はそんなものなくたって
最初から遺産なんか
いらなかったのに」

と言って 笑う母…


「じゃ、元気でね」

と、冷たく言い放ち

この家を 後にした。


悔しいけど

何も言えなかった。

16才の私が
ひとりでお金を稼いで
生活していくなんて
出来なかったし…
何でもテキパキと行動し
いわゆる《しっかり》した母を見て

何も言葉が出なかった。


母が出て行ったあと
通帳をひらいてみた

350万が入っていた。

私は心の中のお父さんに言った…