すると今度は
落ち着いた感じで
こう言った。

「あのね、もう夜の11時に
なるんだよ?
こんな時間に
女の子がひとりで
しかも制服着たままで
歩くなんて
本当に危ないんだよ?」


『……んー…
家に帰りたくなくてさ
ちょっとブラついてた
だけなんだ。
もう帰るとこだったし
大丈夫だよ』

「帰るって…歩いて?
ここから家は近いの?
こんな時間だし
家の人に
迎えに来てもらった方が
いいんじゃないの?」


『……ハハッ。
私の事を
 心配してくれるような人が
家にいるんなら
こんな時間に
ブラついたりしないよ。
迎えに来てくれる人が
いるような家だったら…
家に帰りたくない・・・
なんて思わないだろうね』

と、急に冷めた声で
言った私に
オジさんは困っていた。