「短編」ブリキ細工の恋人たち

 


思い出いっぱいの場所で


わたしを見つけてくれた達哉。


わたしの手を引き寄せて


「もう離さない」って


言ってくれた。


でもわたしはもう他の人のモノで


自分で動けるようになっていた。


「一緒に生きよう」


達哉がそう言った。



「出来ない」


わたしはそう言ったんだ。


動き出す痛さを


怖さを


失うものの多さを


わたしは知ってしまっていた。