カカオ100%





 そして、今に至る。


「…んっ…」


 暗闇に熱い息遣いだけが響いている。


 初めは啄むように重ねられた唇。


 あたしの唇を覆うように、優しくなぞる。


 突然、細く尖らされた舌が強引に唇を割って入ってくる。


「…ふぁっ…」


 その蕩けるようなキスに、私はなす術がなかった。



「はぁ…はぁ…」


 ゆっくりと唇が離れる。

 荒い呼吸を整え、我にかえった。


 あたし、イマ何した?

 今日、初めて会った男。しかも、名前も知らないような奴に。


 こんな、どこも分からないような場所で。

 最悪だっ。

 こんな奴にキスされた自分が。


「ど?分かっただろ?」

 でも、やっぱり1番最低なのはコイツだ!


 口をごしごし服で拭いながら、これでもかってくらい睨みつけてやった。