その男に覆われるようにして押し付けられていても、
何も出来ずただ突っ立っているあたし。
ただ理解出来るのは少しの肌寒さと男の手があたしに伸びてきているってことだけ。
……!?
そっと、あたしの頬に手を延ばしワレモノを扱うように丁寧に触れる。
ツーッと首筋を辿っていく。
その優しすぎる彼の指使いに思わず体がビクンッと波打った。
やだ、何これ。
外は肌寒いはずなのに体の中心がだんだん熱くなってくる。
じわりじわりと手に汗が浮かび上がってくるのがわかった。
どきん どきんと胸がやけにどくどくとはやまる。
あたしは真っ赤な顔で口をへの字につむっている。
そんなあたしを見て、男は、口の端をつりあげ怪しく微笑った。
ぞくっと背筋に寒気が走ったのがリアルにわかった。
そして耳元で甘く囁いた。
「――――教えてやるよ。あのままいたら、どうなっていたか」
―――――え?

