………車?
暗闇に、うっすら黒色の車が浮かび上がってきた。
それと同時に、やっと解放された手。
あ、やっと離してくれた。
そう思ったのもつかの間。
肩を強く抱かれたと思うと、あたしの視界はぐるんと一回転して。
背中に小さな衝撃。
気がついたら、後ろにあった冷たいコンクリートの壁に押し付けられていた。
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだと思う。
驚いて顔を上げれば男が私を見下ろしている。
は、えぇ。
何が起こってるの?
もしかしてデジャヴ?
この状況はさすがにヤバイのでは……?
そう頭で理解しつつも何もできず立ち尽くしている。
どう対処していいのかわからない。

