「ちょっと、!どこ行ってたのよぉ~!探したんだから~っ」
突然、女の甲高い声。
カツカツと凶器にでもなりそうなヒール音を鳴らしながら、男の腕に自分の腕を絡める。
ふわっと風に乗って、女の甘い香水の香りが漂って来た。
いくら香水でも、ここまでつけたらもはや殺人フレグランスだよ…。
「あら…?この子……」
女の視線が男から一転、あたしに降り注がれる。
睨まれてる気がするのはあたしの気のせい?
あたしも負けじとじっと女に視線を注ぐ。
黒いアイラインのひかれた大きな目があたしをピンポイントに睨みつける。
うわぁ。
やっぱ睨んでるよ…。

