てなわけで、夜の町を彼氏でもない、
ましてや、今日初めて会った男に《何故か》手を引かれているあたし。
その上、手を引かれる状態のまま歩いてるから足が縺れそうになってしまう。
我ながらなんて情けない。
「あの、どこ行くんですか!?」
駅がある方向とは逆に人並みに逆らい続けるあたし達。
目的地もなにも知らない当のあたしはただ和也さんの背中を見続けるしかできなかった。
「ん―?秘密♪」
振り向きざまにばちっとウインクを一つきめてくれた和也さん。
なんでそこ秘密にするかな。
教えてくれたって…っていうか。
なんかここ……危なくない?
もう夏なのに、煌めくイルミネーションのような電飾が煌々としている。
明らかにカップルじゃないだろうと思わせるようなおじさんと小綺麗なおね―さん達や、
その逆で、若いいかしたにーちゃんといい年したおばさんがまるでカップルかのように腕に手を絡めて一緒に歩いてたり。
明らかに怪しい雰囲気が漂ってる。
こんな所来てあたし大丈夫なのか?
いまさら心配になってきた…。
そんなあたしの心をよそに、和也さんは足を進め、暗い路地裏のような所へ入り込む。

