何処にでもあるラブストーリー

「おっ奈緒子ちゃんいつも早いね。」販売2部の仲村係長が、私が独りでいる部屋にドアを開けて入ってきた。

彼はその日、誰もいない会社の鍵を一番に開け、受付の女の子が出勤するまでの時間、電話番を行う当番(会社では日直と言った)だった。

仲村係長は、30後半だったが、実際の年齢より若く見え、色が黒く、精悍な顔立ちをしていた。 その上、人懐っこく、後輩の面倒見がよかった。

人間関係第一の私たちの会社では、売上げを作る事も上手く、仕事もそつなくこなし、社内でも男女を問わず人気があった。