何処にでもあるラブストーリー

待ちに待ったこの日、僕は東京に入っていた。 これまで引継ぎや、引越の準備、何度となくやった送別会、体調不良、後輩たちの涙の見送りなどなど、なんやかやと忙しかった。 引越しの開梱は、日曜日の午前中から行われた。

僕は前日から不動産屋から部屋の鍵を預かり、近くのビジネスホテルに泊り込みで、午前中のうちからトラックを新居に迎え入れた。 東京に住む恋人の奈緒子に手伝いを依頼しての作業だった。 

奈緒子とは成増の駅の改札で待ち合わせた。 Tシャツの上に薄手で紺色のパーカーを着て、ブルーのジーンズ、ナイキのスニーカー、手には皮の小さなナップザックを持っていた。