涙なみだの卒業式を迎え終えた教室に
肩を並べて座る。
でも正直
緊張して何を話していいものやら…
まったく思い浮かぶ気がしない。
「そ、卒業式…悲しくなかった?」
やっと言えた一言がこれ。
パニくり状態だったから
しょいがないか……。
「んー。まぁ、ちょっとはな!」
ハニかんだ笑顔が眩しいよ。
雅人は緊張してしていないのだろうか。
少し気になった。
「あ。」
「どしたの?」
「そういや、きょんさ。俺の知らないだろ?進路。」
あ。
…………。
言われてみれば。
知らない。
頭がいっぱいで
考えることさえできなかったみたい。
「うん。どこにいくことになったの?」
卒業で一番泣けたのは
それが原因だったはずなのに。
忘れていた私って……。
「俺ね、自分の行きたいとこに進みたくて。」
「うん。」
「でもそれ、担任にいったら、お前は学力が足りねーから厳しいって言われてさ。」
「……。」
「だから俺、すっげぇ頑張った。」
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