ふっと雅人に
目を向ける。
教室の後ろで
わいわい騒いでいた。
やっぱり雅人は人気者で
男子にも女子にも
寄せ書きを迫られていた。
雅人のアルバムにも
もちろん隙間がないほど
たくさん文字が埋まっている。
「待って!待って!俺そんな一気に書けねえって。」
女の子に向けている
あの眩しい笑顔。
前までは私にも向けられていたのに。
1人分の寄せ書きを
書き終えた雅人が顔を上げた拍子に
パチッ
目があってしまった私。
ドキン
そして…
やばい!
そう思った。
反射的に顔を背けてしまう。
ドキンドキン…
冷や汗が出てきそうなくらい
心臓がうるささを増した。
…………。
心を落ち着かせ
もう1度後ろを振り向いた。
自ら目をそらして置いて
って思うけど
雅人の視線が伝わってくる感じがして
ソーっと
ゆっくり伺う。
すると…
ドキン!
まだ雅人はこっちを見ていた。
見間違いじゃなく
はっきりこちらを
見据えていた。
.

