真っ直ぐに
わき目も触れずに教室へ足を進める。
廊下の窓からは
1・2年生の運動部の声が聞こえた。
ガラッ………━━━━━
夕日に染められた教室の中に
1人の陰を見つけた。
……誰だろう。
逆光の所為で顔がよく見えない。
こんな時間に残ってるってことは
進路の話をする人だろうか。
1歩、足を踏み出し
教室のドアを閉めて
もう一度、人影の顔を
のぞき込むようにして近づくと
「…よう。」
あの時。
廊下であったときから
全く変わっていない雅人が
窓際の机にすわってこちらを向いた。
昨日の今日、もとい
あの時の今日なので
なんとなく気恥ずかしい。
ごまかすように小さく笑顔を見せ
自分の机へ向かう。
バッグの中にノートなどを詰め込み
帰る準備をする。
「…。」
「…。」
………雅人の視線が痛い。
視界に入っている雅人は
こちらをむいたままだった。
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