家に帰り
両親に大学のことを話した。
パンフレットを差し出すと
お父さんは小さく頷き
お母さんは
そんなお父さんを見て微笑んでいた。
「あら。ここ結構有名な大学じゃない?」
お母さんの一言で
お兄ちゃんが
リビングへ駆け寄ってきた。
「何?お前ここ行くわけ?」
「そうよ。推薦していただくのよ。」
お母さんが
私の代わりに答えてくれる。
「まじ?てか、ここ俺が行ってるとこよりエリートじゃん!」
お兄ちゃんはそう呟き
自分の部屋へ戻ってく。
へぇ…
良い大学なんだ。
お兄ちゃんの背中を見つめ
他人事のように思ってしまった私。
「杏。杏はどうしたいの?」
「え…」
答えが濁ってしまう。
……やっぱこういうのは
私の意志で決まっちゃうんだよね。
「あなたの将来は、杏自身が決めるのよ。」
「分かってるよ。けど……お母さんはどう思う?」
お母さんに質問してみると
一度お父さんに目を向けた後
「お母さんは、ここに行ってくれるの嬉しいわよ。」
そう言ってくれた。
お母さんの満面の笑みが
あたしを進学へと促す。
決して押し付けなんかじゃない。
無理矢理でも、なんでもなく
本当に今の言葉は
お母さんの本音なんだと悟った。
「お父さんも、いいわよねぇ?」
未だに
パンフレットを眺めていたお父さんは
ゆっくりと顔を上げて
「ああ。こんな機会滅多にないからな。」
そう言ってくれた。
━━…結果
両親はこの話を
快く受け入れてくれたという事に。
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