このまま
立ち止まっている訳にもいかないから
「じゃ、雅人も話、がんばってね。」
こぶしを軽く握りしめ
小さく突き上げて
雅人を応援した。
「お、おう。ありがとな。」
雅人は
いつもより落ち着いた笑顔を見せ
走り去っていった。
なんか
すごく切ない。
小さくなっていく背中。
薄れていく軽やかな足音。
━━━『おう、ありがとな。』
最後の言葉が
頭の中で響き渡る。
あたし
ちゃんと笑えていたかな……?
雅人との溝ができた今日までの日々。
それを思うと
なんだか辛い。
今話ができたことも
大げさだけど奇跡みたいに感じた。
あぁー
涙出てきそう……
泣きたくなんかないのに…。
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