９月━━━━━
「進路はどうするんだ？」
進路相談室。
担任の先生の声で
ハッと我に返る。
「え、進路？」
「コラ。ちゃんと聞いとけ。」
「すいませぇん。」
「前、紙に進路希望書いてもらったヤツ。ほれ。」
そうして白い１枚の紙切れを
机の上に差し出した先生。
━━━進路調査票。
そこには
私が１ヶ月前に考えていた進路先が
書かれていた。
「そっか、進路かぁ…。」
村田杏
私は第一希望に
【就職】
と記している。
理由？
…そんなの聞かれたって
答えられないよ。
ただ
これといった特技も好きなことも
自慢できることもない。
だから残る選択肢は
これしかないじゃない？
「村田。強制するわけではないが、お前は勉強ができる。自分でも分かってるだろ？」
「……。」
「なのに就職って…もったいないと思わないか？」
「…はぁ。」
「進学、考えてみないか。」
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