そんなものを
いきなり手渡されたので
私は何も考える暇もなく
両手にしっかり抱きかかえる格好となった。
大きすぎて目の前が見えない。
よくこんな大きなものが
あの穴から出てきたなー
って思うくらい。
「これ、きょんにやるよ。勉強教えてくれたお礼に。」
「……え。」
「きょんも思うんだろ?かなり印象残るって。」
「え、まぁ。」
「だからやるよ。これ、俺の分身、みたいな?」
ケラケラ笑いながら
そう話す。
「こいつが、きょんを見守ってくれるよ。」
「守る?」
「御守り?みたいな感じでもらってよ。」
少し声のトーンが
落ちた気がした。
「家ではこいつが守ってー、学校では俺…みたいな!」
なにいってるの……。
雅人……。
「きょんは俺がいねーと何も出来ねーだろ?」
こんな言葉や
「や、意外とそれ、俺だったり…。ははっ」
こういう言葉も
あたしをドキドキさせてるって
わかってるのかな?
分かっててやってるのなら
ひどい男の子だ。
堕天使だ。
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