雅人に尋ねると、




「ぬいぐるみだろ?きょん、知んねーの?」





………━いやいや、人形だよ。


心の中で突っ込む。


真剣に答えてくれた雅人に悪いけど…。


呆れに似た気持ちを

身体の奥に隠した。






あたしって……結構失礼。



「…そうじゃなくて、キャラクター名みたいなの。」


「…………あー、そっち?そっちねぇー!」




ボケてる雅人も、爽やか。

“そっち?”━━だって。

またまた、きゅんってした。






「んーこれは……動物じゃね?」



ひらめいた顔をした。

けど、

それは瞬時に曖昧な返答として変わり、

考え込む雅人につられて、

あたしも考え込んだ。






「動物なの?これが?」




視点を一点に集める私達。


人間2人に見つめられる人形は、


陽気に機械の中で座っている。


誰からか、掴まれたような形跡は、ない。



なんか、そう考えると可哀想な気もしないわけじゃない。








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