気持ちがふわふわ浮いている状態の私。



そんな私を、

雅人は人ごみを上手くかわしながら

ある機械の前に連れてきた。







そして、

さっきまで繋いでいた手をゆっくり離し、

目の前のUFOキャッチャーの中にある

大きなぬいぐるみを指差した。



私の左手が、少しだけ━━…



いや、少しどころではない程

寂しいと叫んだようだ。





「これ!きょんに見せたかったんだ!どぉだ。すごくね?」



にかっとこちらを振り向いて


自分のものように自慢してる……。


こんな、雅人の無邪気な表情にも

ドキンとさせられる私。






こういう時、

本当に私、

雅人のこと好きだなって感じてしまう。





ていうか、これ……。




なんていう名前のぬいぐるみだろ。



………“ぬいぐるみ”なんて

そんなかわいい感じじゃない。


━━━…人形

って単語のほうがしっくりくる。

なんだこれ。

初めて見た。








「ねぇ、これ何?」





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