月の果て



「"拾ってやった─…"だと?」

デカルトは、ふんっと鼻で笑った。




「ふざけてるのは、お前だよ。俺は、拾われたんじゃない。雇われたんだ」



デカルトの瞳は、ギラリと光った。



「───…お人好しの王子様にな」


とデカルトは、馬鹿にするように笑った。




───…そう、

俺はあの雪の日に雇われたんだ。


お人好しの王子様に、



執事として───…




だけど、

俺は誰にも捕らわれたりなんてしない。




あんな我が儘な王子の世話なんて、

まっぴらだ。



金さえ集まればすぐに辞めてやるさ……