-アンビバレント-



その時…



♪♪♪~



かかってきたらすぐに分かるように

1人だけ替えた着うたが流れ出した瞬間


あたしの寒さで震えていた体は

一瞬びくっと固まった後

また震え出した。


今度は目から涙が溢れ出てきてた。



『もしもし?』


そのちょっと癖のある低くて柔らかい声は

あたしの耳から体に伝わると、あたしの体を芯から温めた。


「……っ…」

『もしもし?香保?』

「……ん……」

『泣いてんの?今どこ?』

今日泣きたかったのは実流なはずなのに

あたしが泣いてるのはおかしいはずなんだ。


あたしがしっかりしなくちゃいけないんだ。


でもそう思えば思うほど

あたしの涙腺は緩む一方だった。