-アンビバレント-




「ちょっと香保?どうしたの?」


ガタガタと荷物をまとめ始めたあたしを

母親が心配そうに見る。



「ごめん、お母さん。真保も…」

真保もきょとんとした顔でこちらを見ている。


「今…あたしがそばにいてあげなきゃいけない人がいるんだ……」


あたしは深呼吸すると


「行ってくる…きっと…暗闇であたしを待ってるから…」


そう言って家を飛び出した。





たった2日前に話したばっかりなのに。


たった2日前に笑顔見たばっかりなのに。



もう一秒でも早く会いたくて仕方ない。



あたしは涙で霞む視界に目を凝らした。