その時だった。

川から大きな魚が水しぶきを大量に飛ばしながら跳ね上がった。

「キャッ!!」

思わず大きな声で悲鳴をあげてしまった。
それと同時に、あの男の子がこっちをキッと睨んだ。

「・・だれだ」
「あ・・・」

遠くから気づかれないようにしていたが、隠れていられるのも時間の問題。見つかってしまった。

八雲は静かに男の子の近くに歩いていき、横で頭を下げた。

「ご・・ごめんなさい・・」

姫である八雲は人に頭を下げたことがなかった。いつも周りの人からされている行為を自分でやるというのは、なんだか変な違和感があった。

「・・・静かな場所で大声を張り上げるのはやめろ」

男の子は八雲の姿に見向きもせず、冷たく言い放った。



その冷たい感じの行動が、まさしくあの子と同じだった。
八雲は聞きたくなって、勇気を振り絞ってきいてみた。









「私のこと・・・・覚えてる?」