宿命に逆らって

男は、力強く腕をふり、ガバッと神威の胸ぐらを掴んだ。

「・・・!」

神威はもはや声なんて出る余裕もなかった。男に目を合わせることもできず、そらした。そらした目からは、大粒の涙がこぼれ落ちていた。


「お前、ここんちのガキか・・。フン、来るのが少し遅かったな。大丈夫。お前の両親は・・・                                              もう楽になってる・・・!!」


「!!!」

神威にはその男が、両親の‘死’を表しているということが分かった。本当に死んだんだ、殺されたんだということを改めて知ると、悲しくてしようがなかった。

「・・・ぅ・・っ・・こ・・殺さないで・・・ぼ・・僕を・・」

「誰が殺すかよ!てめぇみてぇなチビをよぉぉ!!俺はな、殺して価値のあるもんしか殺さねぇんだよ。まぁ、今日の中で価値のあった奴なんて、一人もいなかったがな。」


「っ・・・ぅ・!」



「だが、お前はそれ以下だろ。戦えねぇ、怖がってばかりでろくに喋ることもできねぇ。そんなんだから、周りの大切な人達がどんどん殺されていくんだよぉ!!!」