「うっ!!!!」



掠っていないと思っていたクナイは実は掠っていて、神威の頬が斜めに切れた。 
おそらく、クナイがあまりにも早いスピードだったせいで、傷の表れが遅かったのだろう。あまり深い傷ではないことが幸いだった。



「ーーーフン、誰だ、そこにいるのは?」



聞こえてきた声は太くはっきりした声。その声に圧倒され、神威は逃げたくなった。外にいた人には、非情でも何とかなると言ってしまったが、やはり現実はそうはいかなかった。


ギシ・・・ギシ・・・




巨人が自分の近くにどんどん歩み寄ってくるのが分かった。


(た・・戦わなきゃ・・・戦わなきゃ・・・!!!)


神威は何度も心でそう叫んだ。しかし、心では分かっていても、体が言うことを聞かない。小刻みに震えて、どうしようもなかった。




「フン!なんだ、ガキかよ!」


ようやく姿が見えた。

全身が筋肉で包まれたようなガッシリした体で、かみの毛は短くてはねていて、顔には黒いマスクをしていた。