「そういえば、なんでいつも一人でいるの?親とか、友達とか。」

ずっと前から気になっていたこと。周りにいるなら、別に一人でいなくてもいいのにと、八雲は思っていた。
それとも一人なのか。

「・・・友達はおろか、親なんていない」

やはり、神威は一人らしい。なんとなく、それは分かっていたことだった。

「どうして?」
「お前にはかん・・・」

神威の「関係ない」の言葉が聞こえる前に、八雲は口を挟む。
「関係あるよ!こうやってまた会うことができたのだって、きっとなにかの縁だよ!隠してたって、いずれは知られるなら、今話した方が・・」

神威は八雲が今にも泣きそうな顔で必死になっていることを悟った。
この空気を戻すためにも、神威は話さなくてはならなくなった。

(どうして女って、こうコロコロ気持ちが変わるんだよ・・・)
 
「・・・これから話すことは、あまり他人に教えたりするなよ。・・・広まるとめんどくせぇことになるからな」

「えっ・・・あ、ありがとね、話してくれて」

「・・・・・」



静かに目を閉じ、耳から頬をつたっていく、静かな風を感じた。



そして神威は、自分の昔を語り始めた。