それでも、“行ってきます”と“ただいま”を今でもいうのは、あたしがまだどこかで期待しているからじゃないかって思う



あたしに向けられない暖かさに、あたしはどうしていつまでもしがみついているんだろう





「あ、…またきてる」


ノートパソコンを開いて、思わず笑ってしまった、お父さんからの不器用なメール


いつも変わらないメールの始まり方は、いつも変わらず沈むあたしを浮上させてくれる




お父さんがいるから‥

だから、この家に帰ってくる





でも、お父さんのいないこの家の中にあたしの居場所はない


ないものを、ねだるほどあたしは子供じゃないから、手に入らないなら、もう要らない






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