「え…?あ…つ、次自己紹介だったよね?どうしよ、私何も言う事考えてないや」
ハッとしたように表情を和らげたももに、違和感が残る。
俺、何か言ったか?
鬼畜兄貴の話して、会いたくねえっつって…ももが、そんな鬼畜兄貴とは仲が悪いのか…って。
頭の中で、会話を整頓していく。
キーポイントは、何だ?
…鬼畜…はこの際関係ないとして。
兄貴…??
分かり易い程に表情を変えるももに、何か抱え込んでいるんだと確信した。
きっと他の奴らなんかだったら、ん〜?ももちゃんどしたのかな〜?程度で終わるだろう。
多分きっと、ももをそんな風に思ったのは、俺がいろんな「目」に人よりも敏感なせいだろう。
人目が気になるとか、そういうんじゃない。
まあ確かに、入学式当日の、異様なまでのあの沢山の視線は気にしたけど……。
何て言うか、目は口ほどに物を言うっつーじゃん?そーゆー…目の色?
だから気になった。
これが初めてではないから、なおさら。
タイミング良く、ももの元へやって来た美春が、一言二言ももと交わすと、ついでに俺にも手を振り、そんな美春に軽く手を挙げる。
元気良く笑顔で教室から飛び出していく美春を見送りながら、ふと名案が浮かぶ。
幼なじみの美春なら、何か知ってんじゃねえか?
なんて思った所で、図々しくもそんなお節介な事は、俺は聞けない。
むしろ、美春に変に思われるか、いろいろと感づかれておしまいだろう。
……俺、やっぱりおかしいよなあ…。
そんな時、美春と入れ替わるようにして、龍雅と宗太が教室へと駆け込んできて、考えを中断させられたのだった。

