いろいろ考える事があるのに、今ももがそばに居ると言うだけで、全てがももに塗り替えられてしまう。
いろいろあったはずなのに、こうして一緒に居ると、それだけで満たされてしまう。
後回しにすると、後で自分が大変な思いをするだけ。
でも、考えてもどうしようもない事は、仕方ないのかもしれない。
今は自分の気持ちを、ハッキリと悟った。
それだけでも、大収穫だと思わなきゃいけない。
栗本には何歩も前進されてしまったけれど、今はももと同じペースで並んでいたい。
並んでなんかいないかもしれないが、そう思うんだ。
「それにしても、ももちゃんも美春ちゃんも、可愛いなあ。モテるだろう?」
「モテませーんよ〜!!あ、ももはモテモテだけど、美春は俊ちゃんだけだもん♪」
「悪い虫が付かないように、睨み利かせるのが癖付いたかな」
相変わらずバカップルぶりにも、慶兄は大人の余裕で笑みを浮かべる。
対して、龍雅と宗太は苦笑いを浮かべるが、前よりは慣れたようだった。
そして俺は、今正に触れられたくない話題に、思い切り話を逸らそうと話題を探した。
「そーゆう慶兄こそ、モテモテなんだろ〜?」
「俺?そうでもないぞ?」
「ぐあ〜!!いいなー!!ナースを取っ替え引っ替え…」
「しないから」
願いが通じたのか、宗太が機転を利かしてくれる。
龍雅はお約束のようなものなので、あえて置いておく。
慶兄の女関係どうこうは気にならないが、間違っても、何があっても、ももが慶兄に惚れたりなんかしないようにと、野暮な事を考えた。
いつから自分がこんな風になってしまったのかなんて、考えても無駄なだけ。
どんなに間抜けで、カッコ悪くても、そんなの構ってられないんだ。
ただ、ももが好きと言う、その気持ちだけ。
今の俺には、それだけなんだ。

