「ファミレスで良かったのか?」
窓際の角のテーブルをくっつけて、総勢7人で陣取る。
散々悩んで話し合った割に、決めた場所は結局ファミレスだ。
慶兄以外は全員が制服と言う事もあったが、結局質より量な食べ盛りにはファミレスが一番手っ取り早いからだ。
「全然大丈夫!!今度宗太んちで一緒に飲もうぜー!!」
「お前んちみたいに言うな」
いつの間にか打ち解けて、もうこんな話にまで進んでいる。
まさかこんな事になるなんて、誰が想像しただろう。
まるで授業参観にでも居るような、変な緊張感が俺を支配する。
なんとなく慶兄の横になんて座れずに、やっぱりいつものようにももが隣に座る。
なんだか先ほどから大人しいももが、気になって仕方ない俺は結構図太いのかもしれない。
「じゃあ、今度お邪魔しようかな」
「慶兄は大学生…?」
「うん。そうなるなあ」
俊まで打ち解けている様子に、これは本格的に飲み会するな…なんてぼんやり考える。
たいして耳には会話なんて入ってこず、それでも時々耳を傾けながらも目の前の料理に箸を進める。
ある意味、周りが慶兄に食い付いてくれている分、ももに意識を向ける事もできた。
でも、チキンな俺は、ももに話し掛ける事もできずに、ただ黙々と口に料理を運んだ。
考える事もいっぱいで、今の有り得ない状況に頭が対応仕切れていない事もあって、なんだか情報を処理しきれていない。
何か言葉を掛けたいのに、キッカケになるような言葉が浮かんでこないんだ。
「それにしても、るぅにこんなイケメンの慶兄が居るとはな〜」
「だいぶ歳も離れてるからな」
周りの会話は聞こえないフリをして、ただひたすらに絡まれないようひっそりとしている事に努める。
でも内心は、ももが隣に居ると言う事が、嬉しくてたまらなかった。

