考える事も、考えなきゃいけない事も、たくさんある。
でも今は、何もかもを忘れ、楽になりたかった。
面倒くさい事は嫌いだ。
でも、そんなんじゃ片付けらんねえ……。
ソファーにもたれ掛かりながら、俺はただじっとテレビを眺めていた。
「お前、良い身分だなあ」
「…なにが」
「高いぞ。俺に飯作らせて」
別に頼んでねえ……と、言い掛け、ぐっと飲み込む。
余計な事を言って、寿命を縮ませる事になるに違いないから。
だんまりと言葉を返さない俺に対して、慶兄が小さく笑う気配がした。
俺が余計な事を口にしないようにしている事でさえ、やっぱりお見通しらしい。
そして、しばらくすると、部屋の中を美味しそうな匂いが漂いだす。
そこでようやく、自分が空腹だった事に気付き、更にはそんな事にすら気付かない程悩んでいたんだと言う事に、愕然とした。
俺、今までこんなだった…っけ。
恋煩いなんて、可愛いモンじゃねえ。
重症だ。
重病患者だ。
「瑠衣斗、できたぞ〜」
「……は〜い…」
「…なんだソレ。気持ち悪いな」
「……そうだね」
気持ち悪くても何でも良い。
やっぱり俺は、慶兄に診てもらう必要があるに違いない。
いや、是非とも診てもらいたい。
できれば治してもらって……。
「……だから運べよ」
「は〜い…」
「気持ち悪い」
……うん。
やっぱり慶兄は、鬼畜だ。

