「とりあえず、栗本は保留!!飲むぞー!!」
「…まだ飲むのかよ」
気を取り直すように、龍雅が元気よく缶ビールを傾ける。
呆れたような俊の言葉に苦笑いが漏れるが、胸のモヤモヤしたモノは拭えなかった。
正直に言えば、告白なんてすぐにだってできる。
いや、できればしたいし、気持ちを言葉にできない事がもどかしくて苦しいくらいだ。
でも、明らかに俺を異性として見ていないももに、今の関係が心地良くも感じ、崩したくないと言うのも本音。
そしてなにより、やっぱりアイツに申し訳なく思ってしまう自分がいるからだ。
俺は、そんな感情の間で、振り子のように揺れる自分の気持ちを決めかねている。
結局結論なんて出せないまま、その後も続く宴会で酔えない酒を呷り続けた。
気持ちを掻き消すように、何も感じないように。
こんな俺に、気兼ねなく接してくれるコイツらにも、本当に救われている。
恋をして、こんな自分が居たなんて初めて知った。
弱くて臆病で、情けない。
男らしくない自分が嫌に感じたりもしたが、そんな俺を教えてくれたのは、紛れもなくももなんだ。
そう思うと、少しだけ胸が暖かくなった。
賑やかな目の前を眺めながら、そっと自分の耳に触れる。
少し重みを感じると、自分の体温で暖かくなっているピアスに、尻がむず痒くなる。
もう少しだけ…考えてみたい。
正直、気持ちは焦るばかりだが、このままじゃダメだ。
そう思いながら、俺は騒がしい声の中、ももを思い描くのだった。

