俺はこんなにも弱い男だったのか……。
慎重になりすぎて、手足が出せない。
それどころか、情けないにも程がある。
自分の意志すらも決めれないようじゃ、栗本をどうこう言う権利すらねえ……。
ましてや、余裕かましてたなんて、アホすぎて嫌になる。
どうすればいいんだ。
俺は、何でここに居るんだ……。
脳裏には、過去の情景が鮮明に蘇る。
そんな情景に、頭を締め付けるように軽く頭痛がしだす。
「るぅ…?体調悪いのか?」
「…いや、大丈夫…。いつもの事だ」
宗太が心配したように顔を覗き込んできて、それに答えるように口元だけ笑ってみせた。
慢性的に、俺はいつもこの頭痛に悩まされている。
今でもつい先ほどまでの事のように思い出させる光景は、俺の中にすっかり居座ってしまった。
ある意味それが俺を奮い立たせるモノなのかもしれないが、胸のモヤモヤした苦しさはどんなけ時間が経っても慣れやしない。
「なんだ?頭でもいてぇのか?」
「美春鎮痛剤持ってるよ?飲む?」
「いや…ただの偏頭痛だ。そのうち治る」
美春の申し出をやんわりと断り、小さく息を吐いた。
今日はやたら溜め息を吐いている気がする。
ああ…俺の幸せが逃げちまう。
って、もうおせーか。
「偏頭痛ってストレスだろ〜?無理すんなよ!!」
「おう。大丈夫だ」
こんなけ心配までかけて…情けねー……。
そう思う反面、気にかけてくれている仲間に、少し救われた気がした。

