「へえ〜…やべえじゃん」
「でも、ももはヤツの事は苦手なんだろう?じゃあ関係ないじゃん」
宗太の言葉に、背筋がヒヤリとする。
次に続いた俊の言葉になんて、安心できない程動揺しだしていた。
押しに弱い?
押しに弱いって、つまり強く迫られたりすれば呑んでしまうっつー…事……?
おいおい。
想像したくねえけど、想像できちまうじゃねえか。
「ももが強く出れる訳ないでしょう!!逆に強く来られたら、もも逃げられなくなっちゃうよ!!だから美春でもくっつけれたんだもん♪」
「え〜!!まさかのカップル誕生しちゃうかもってか!?俺仲良くできるかなあ!?」
これは…ワザとか?
ワザとなのか??
俺を焦らせるための科白だったりするのか?
美春のやたら誇らしげな態度はよく分からないが、龍雅の言葉には溜め息を盛大に吐き出した。
胸がじりじり焦げる音がする。
頭を抱えてしまいたくなる程、頭の中がごちゃごちゃだ。
これでもし、ももに男でもできたりしたら。
俺はどうなっちまうんだ。
今感じる苦しさでも耐え難いのに、現実にそうなった時、俺はどうなるんだ?
「邪険にできないんだろうなあ〜。ももの性格からして」
「そうなんだよね〜。普段から断れない性格って言うか?」
どうしよう…どうすれば良いんだ。
でも、俺にももをどうこうする権利なんてない……。
それ以前の話なんだ。
「でも、今回は美春は間に入ってる訳じゃないし!!大丈夫なんじゃない?」
そう言って俺に笑顔を向けた美春に、俺は少しも気持ちを紛らわす事なんてできなかった。

