「弱音なんて聞いた事ないから…褒められたいとかじゃなくて、ももは認めてもらいたくて頑張ってるんだろうなあ」
美春の寂しそうな瞳に、胸が切なくなる。
ようやく、もものあの寂しそうな横顔の意味を知った。
そんな気がしたが、それだけではない気もする。
寂しそうならまだいい。
俺の目からは、ももはもう既に、何かを諦めてしまったように見えていたから。
意欲がないと言うか、意志の感じられない眼差しからは、そんな物を感じた。
「高校入ってね、もも前よりも笑うようになったと思うんだ。なんだかんだ、受験はかなりプレッシャーだったんだと思う」
「まあ、ただでさえレベル高いし…おまけに首席だろう?ちょっとは肩の荷が下りたのかもなあ」
屈強のないあの笑顔を、消してほしくない。
花が綻ぶような、あの笑顔を奪われる事のないよう、守りたいと思った。
あんなに小さな体に、のし掛かる物は大きい。
少しでも、支える事ができるのなら…俺は一体、なにができるのだろう。
美春から語られる真実に、良い考えなんて浮かんでこない。
それどころか、痛む胸に息苦しささえ感じる。
とてつもなく、自分が弱くて情けない、なにも出来ない男に感じられた。
「その前にも後も、ももは美春に弱音なんて吐かなかった。だから、ももがいつでも弱音吐けるように、ずっとそばに居たいの」
「俊も妬けるに妬けねえなあ」
美春の言葉には、本当にももを思う確かな思いを感じられる。
早く美春の気持ちに、ももが気付けばいいのにな…と言う思いと、美春と同じように、俺も同時にそんな場所になりたいと思った。

