チラリと見ると、どうやら本気で驚いたらしい龍雅に、苦笑いが漏れた。
お前の方が慎重派なんじゃねえの?
慎重派で不測の事態に一番慌てるタイプだなあ。なんて呑気に考えた。
何事もなかったようにしている宗太と俊は、絶対に図太いに違いない。
「じゃーん!!るぅ、誕生日おめでと〜!!」
「へ?」
美春の背後に居たももが、嬉しそうな顔をして手にホールケーキを持って部屋に入る。
蝋燭が灯され、いかにもな誕生日ケーキだと一目で分かる。
呆然とする俺をよそに、美春とももが俺に近付くと、ももが俺の目の前のテーブルへケーキを置いた。
「てゆーか、え?俺?」
「るぅちゃん意外に誰が居るの!!」
それは…そうなんだけど……。
まさか誕生日ケーキまで用意してあるとは思わずに、素直に驚いてケーキをまじまじと見つめてしまう。
ケーキには、数字の1と6を象った蝋燭に、周りを囲むようにして灯された数本の蝋燭。
真っ赤なイチゴが並び、真ん中にはプレートが立て掛けられている。
「早く消して消して!!蝋がケーキに垂れちゃう!!」
「るぅちゃん早く!!あっ、待ってみんな歌って!!」
う、歌?
歌うのかよ!!
戸惑う俺をよそに、龍雅を筆頭にバースデーソングが歌われる。
こっぱずかしすぎて居たたまれなくなり、顔がどんどんと熱くなっていく。
お…おいおい。
小学生かよ……。
そう思いながらも、くすぐったさを誤魔化す事なんかできない。
歌が終わり、なかなか蝋燭を吹き消せない俺は、ももと美春、そして龍雅に急かされるようにして蝋燭を吹き消した。

