なぜかって、俊の隣の美春が、チラチラと俺とももを見比べていたりするから。
初めは気にしてなかったけど。
そして正に今、俊と俺の会話に、美春の耳がダンボだという事に確信した。
肝心のももはと言うと、俺の隣で龍雅にいじられまくっている。
ちょっと頬を膨らませて、むくれた表情をしたももに胸がぎゅうぎゅうと詰まる。
そしてそんなももを見ている俺を、今まさに美春は凝視しているのかと思い直すと、早々と前に向き直った。
なんか、…やり辛い。
でも、こうして自分の気持ちを知られている事に、なんとなく気が楽なのも正直な気持ち。
ももの幼なじみでもあり、大親友の美春からして、俺ってどう思われてるのだろうか。
不合格…だったりして。
あり得るだけに既に痛い。
「龍雅は喋んなきゃモテると思うんだけど」
「喋ってたら俺の魅力が全くないような言い方するなー!!!!」
「え、だって…見た目ちょー格好いいのに、喋り出すと残念なんだもん」
「残念とか言うなー!!なんだよ!!じゃあ俺が喋らず大人し〜くしてたら、ももは惚れるのか!!」
「ん〜…まだ何にも知らない時だったら、ない事もないんじゃないかなあ?」
な、なんと!!!!
さり気なく耳に入ってきた会話に、思わず固まる。
え…可能性はあるって事か?
いや…あった。って過去形だよな。
一瞬、心臓が大きく一度だけ鼓動して、そのまま止まったかのような感覚になった。
やたらと頭がクリアになって、体中の力が抜けたような感覚になる。
「まあ…残念ながら例え話だし、最初から龍雅は龍雅だっもんね」
例え話かもしれないけど、例え話でこんなに動揺する俺って……なんなんだろう。。

