**confection**





どうしたもんかな。



ももの楽しそうな表情を見ていると、何とも言えない気持ちで一杯になる。



多分、好きって気持ちなんだけど。


モヤモヤとして胸が苦しいんだ。



みんなとわいわい鍋をつついている姿が、無防備すぎて溜め息を吐きたくなる。



確かに、大人数で食卓を囲むのは楽しいし、なによりも飯が旨い。



そこに、好きな女が居るからなおさら。



でも、今の俺は、モヤモヤしてたまらないんだ。



「なんだよるぅ、食ってるか?」



「あ?ああ…うん」



俊が顔を覗き込み、小さく溜め息を吐き出す。


思わずチラリと見ると、なんだか腑に落ちないような表情をして俺を見ている。



「な…なんだ」



「上の空だぞ、主役」



「え…あ……そうだった?」



「るぅが食べないと、気味が悪い」



…なんと。

俺が食ってないだけで、気味が悪いレベルなのか。


それはいただけない。



箸を握りなおし、改めて鍋に口を付ける。


ちょっと汗が噴き出しているけど、食べてないと気味が悪いらしいので気にしないでおく。



……とか言いながら、俊なりに俺を気にしてくれているに違いない。



ボケまくってて抜けまくってるけど、その分人と違う部分を見ていたりして、結構隅に置けないヤツ。



これで、なんとなく確信した。


もも以外の全員、俺がももの事が好きな事、ぜってー知ってるに違いない。と。