流れる雰囲気には、何の違和感すら感じない。
でも俺には、ももの発する一言一言が完成しないパズルのピースのように思える。
両親が共働きとかなら、1人で夜ご飯を済ませる奴だってザラじゃない。
今は核家族化している世の中なら、それはなおのこと。
別にたいして気にかける部分ではないはずなのに……何故か妙に引っ掛かってしまうんだ。
「ところで、なに鍋〜?」
「なんだっけ?チゲ鍋?」
美春の質問に、嬉しそうに答えるももの表情が、俺を釘付けにする。
なにかあるなら、少しは頼ってくれたっていいだろう……?
そんなに小さな体に、一体どんな事を思い抱えているんだろうか。
人のことは言えないのは、宗太の言葉によって重々承知だ。
でも、それとこれとは話が違うんだ。
俺の中では、俺の事なんかよりも、ももの事なんだ。
「俊って、鍋奉行なんだな」
「そう?だって…龍雅が適当に鍋に入れちゃうから」
「え!!鍋だろう!?適当に突っ込んで煮えるの待てばいんじゃないのか!?」
俺がこんなに引っ掛かっているのだから、きっと宗太だって同じに違いない。
なにがなんて、そんなの分からない。
説明なんてしようがないんだ。
美春ならなにか知っているのかも。とは思うが、探るような事は気が引ける。
直接ももに、そんな質問もできるワケもない。
どうするべきかも分からず、変に買い被りすぎなのかもしれないとも思ったが、なんだか自分の無力さに不甲斐なさを覚えた。

