**confection**





ももの様子をチラチラと伺いながら、もくもくと口にご飯を放り込む。



好きな奴と付き合うって、どんな感じなんだ?


両思いって、やっぱり毎日が楽しくて仕方ないのか?



周りを見渡せば、カップルらしい2人組みもちらほらと居る。


周りの景色なんて目に入ってないようで、完璧に2人の世界だ。


今まで考えた事もないような事まで、自分の意識で生まれる。


なんだか羨ましいな、なんて。考えた事もなかったのに。



願わくば、その相手はももであってほしい。



自分で考えといて、慌てて打ち消す。


なに考えてんだ…俺。




思わず溜め息を吐き出してしまいそうになる考えに、気分が沈む。


溜め息まで吐いてしまったら、本気で幸せが逃げて行ってしまうような気までしてしまう。




幸せ…って具体的によくわかんねーけど。



ほどなくして、すっかり綺麗に食べ終わり、未だに口をもぐもぐとさせるももに吹き出した。



「…?」




何故笑われたのか分かってないらしいももが、訝しげに眉を寄せ、じっと俺を見つめる。


そんな姿に、堪らなく奥歯を噛み締めて耐えた。



目が何なんだと訴えている姿に、俺はゆっくりと口を開ける。…笑わないように。



「ハムスターみてえ」



「むっ」



あぁもう…。お約束すぎてたまんねえ。


そして俺は、予想通りの反応に、声を殺して笑ったのだった。